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短歌との出会い
私と短歌の出会いは半世紀近く前の1960年代後半頃でした、新聞の文芸欄を読んでいて短歌に興味を持ち始め、気が付いたら自分も短歌を新聞投稿しておりました、たまたま其の作品の幾つかが入選してをり又月刊誌「短歌研究」にも東海地方新人特集に掲載して貰い其れが切っかけで、どんどん歌作に嵌り込んで行き以来10年ぐらい続けました頃、開業して三年になりました小さな鉄工所ですが、次第に受注が増えて来て日々忙殺に追われる嬉しい悲鳴に、歌作りする暇も余裕も無くなりました、1970年頃には全く短歌から遠ざかり一途に工場の事だけに専念していました、其れから二十年が過ぎた頃ろ、ネットで当時(2001年)、岐阜大学の教授であり歌人でも居られます梧桐先生に出会い、「幻蝶」という実母の死を主題にされた歌集を頂き其の秀ぐれた作品に感動し、以来梧桐教授(梧桐学の短歌ホームページ)を師と仰ぎ再び歌作りを始め出しました,現在も先生のご指導を受け乍ら上達のしない劣等生として短歌をやってます以上
下記の作品は歌作り始めた最初に選ばれた月刊「短歌研究」に掲載された作品です。
東海地方新人特集掲載

昭和四〇年代の初期の入選短歌
入選作品
県芸術祭入賞 s39
揺れながら鉄骨降り来る若者の口笛明るく夕陽の中に
岐阜市文化祭入賞 s48/2
何処へ行くビッコを引ける野良犬よ落日はやき山陰の路
伊奈葉神社特選s/48/6
溶接の火花も吾も吹く風の向きに傾く地上十米
護国神社入選s50
三十年過ぎこし今も征きし子の墓碑に語らふ老母の合掌
護国神社同上s51
会えし酒呑みて語らふ男二人杳き戦の貴様と俺は
山鳥の食み零したる南天の実が雪の上に点々と赤し
題詠(木)吉川宏司選 佳作
飛弾ナンバーのトラック積みゐし材木の氷雪溶けて樹脂の匂ひす
平成20年度全国短歌大会 09/1/24
浮かび来て羽ばたく鵜有り篝火の火の粉を
浴びてまた潜り行く
古今伝授の里短歌大会 08/9/6
栗木京子先生 選 佳作
藻に鮎の食ひし痕見え吉田川透きとほりつつ水底の石
武蔵熊谷短歌大会 08/8/9
番ひ蝶光にもつれ花にもつれ長閑に過ぎ行く昼の静寂
水野昌雄先生 選 佳作
時効無き戦後ひきずり永らえる又巡り来て夏を迎える
伊香保短歌大会 08/6/12
われ八十路遠ざかり行く昭和かな青春は戦争のただ中に暮れき
詠題 石
谷川の水底の石に波の影ゆるるに寄りて小魚遊ぶ
NHK学園和倉温泉短歌大会 08/4/22
尾崎まゆみ先生 選 秀作
見知らざる日々がぎっしり其処に有り新年の暦の白地美し
佐伯裕子 選 佳作
何事も逆らはずして和す事の老いの狡さよ自らを嘲笑
熊野路田辺短歌大会 07/7/6
新聞の記事の字面に爪落とす荒るる世相に関わりはなく
古今伝授短歌大会06/9/2
朝明けの光届かぬ茂みにて夢見るような淡き蛍火
武蔵野短歌大会 06/4/8
永田典子先生 選 佳作
今日の日を肩から外し行きつけの呑み屋に寄りて少しほろ酔ふ
古今伝授の里短歌大会
05/8/6
八幡の真ん中流れる吉田川水底くぐる雪代山女
武蔵野熊谷短歌大会05/7/2
降る雨の散らす花びら白く敷く花の終わりの山峡の道
ろまん 全国短歌大会04/9/19
寂しかり死語となりゆく「愛の鞭」古い男と笑えば笑え
伊香保 短歌大会 04/6/12
花の香も交えて吹ける五月風生き行く望み湧きくる朝
別府 短歌大会
04/5/22
市となれど昔と変わらぬ五戸の里老いばかり残り山は眠れる
題詠
湯上がりの頬に触れくる細雪遅き月漠と見ゆる程降る
県内各短歌会の部
第二回関市文芸作品展 (011/7/3)短歌(特賞)議長賞
たびも帽子飛ばされ追いかけて五月の風と一緒に歩く
川柳(秀作)
原発の痛し痒しの廃止論
第一回関市文芸作品展 (H10/6/27)
(短歌秀逸)
共白髪までと誓い五十年まこと白髪の夫婦となりぬ
(川柳秀逸)
目高棲む春の小川は幻か
十九回県文芸祭 (011/3)
刃物並ぶ店過ぐる時炎天の道に流がるるクーラーの冷気
第十八回岐阜県文芸祭俳句(09/3)
長良川受け皿にして大花火
十七回 県文芸祭(08年度) 佳作
生業の紙漉き廃して五十年今も漉き槽庭隅に有り
岐阜県老人クラブ連合会作品コンクール (07/10/18)
優秀賞短歌の部
日記帳の最後の頁も書き終えて嬬と箸取る年越しの蕎麦
十四回 県文芸祭(06/3)
一日中「腰がいたい」と繰り返す嬬と向き居て短日昏るる
十二回 県文芸祭(04/3))
登校の子等群れて行く雨のなか黄色の傘揺れつつ進む
十一回 県文芸祭(03/3)佳作
工房に陶器を作る児童達それぞれの個性ロクロに廻す
岐阜市文化祭05/11月俳句
せせらぎに夏蝶も来て山の寺
岐阜市文化祭06/11月
川の面にその身映して飛ぶ燕翻る瞬時(とき)白き腹見す
岐阜市文化祭07/11月俳句
瀬の音を添えて長良の鮎料理
伊奈波神社献詠短歌 H14/6/9
老いて病み農はもう駄目と呟きつつ嬬は淋しく田を眺め居る
伊奈波神社献詠短歌(特選) H15//6/8
孫の描く終着駅の無いレール何処まで伸る画紙をはみ出る
伊奈波神社献詠短歌 H18/6/10
見仰ぐれば優しく浮かぶ春の月老いの話しに頷き呉るる
伊奈波神社献詠俳句 H23/6/11
吊革に腕の眩しき若葉風
伊奈波神社献詠俳句 H19/6/9
塩噴いて長良の地鮎焼き上がる
伊奈波神社献詠短歌H20/6/10
異常無し老化ですねと若き医師写真指差し軽く言いきる
名月と萩の夕べ H/20/9/13
山間の棚田の稲も刈り干して月の満ちたる夜の道かへる
伊奈波神社献詠短歌H21/6/13
ウォキングの途中に鎮守の社あり祈るともなく素直に詣る広い
伊奈波神社献詠短歌(秀逸) H22/6/12
店と閉じし薬屋の軒に雨避くるしっかり沁みし薬の匂ひす
名月と萩の夕べH/20/9/13 特選
山間の棚田の稲も刈り干して月の満ちたる夜の道ゆく
名月と萩の夕べH/21/9/26
俳句
満月をぶら下げている松の枝
名月や無口の嬬のわらべ歌
最近の短歌
追憶はただに美し幻のごとく毅然と白き水芭蕉
牡丹のぼってり戸口に並びいる冬日つやつや炎えてゐるなり
感動の失せてならじと思ひつつ懇ろに書く老いの書き初め
冷え込むと今夜の予報聞きしより会ふ人ごとに教えておりぬ
小春空一回りして観覧車老婆一人をぼとり吐き出す
幼子の耳の形はわれに似しと言えば嬬殿激しく否定す
残照は冬空高く残りゐて光る球体が過ぎてゆきぬ
新春の音は澄みたる大空を渡り来るなり杉の枝打ち
駅伝の少女らの肌赤らみて一区の道路に塊りて来る
素裸の枝黒々と青空を突き刺す厳しき冬に真向かふ
ほがらなる雲雀の声を大空の雲の絶え間の青きに仰ぐ
怖れいし大腸異常なしと知り病院を出で深き青空を吸う
人間の秘め持つ業ともさだめとも蜘蛛の巣の蝶しきりにもがく
義歯合はぬ辛さ訴ふる嬬なれど外しし口元愛らしくも見ゆ
松枝の針葉の上にかかる雪ほの白うして月に輝く
限りある生命の日々を愛ほしみ遠のく雲の影追ひて居つ
心して繰り返すまじき歴史あり今の平和に潜む危ふさ
それぞれの裸木の小さき芽を濡らし庭は静かに芽起こしの雨い
幾度も帽子飛ばされ追いかけて五月の風と一緒に歩く
悲しみも怒りも未だ風化せず兵のままなり聞く蝉時雨
散る花に同期の朋ら征く機影かさなり戦後はわれ果つるまで
いまもなほありありとして終戦の夏の残像が脳裏の底に
物言へば忽ち弾き返さんごと新竹光る細道ゆくに
寂しさの心の所以は訊かれたくなくてただ見る青澄む空を
諸行無常とふ常套句さへ空しもよ老いて朽ちゆくあはれ術なし
竹藪のこぼれ陽受けて咲く著莪のうす紫の花ぞ親しき
五月雨に濡れて動かぬ青蛙無言の境地に我を誘(いざな)ふ
はにかみて少女が包む蛍らの明りにハンカチの花柄浮かぶ
月、嶺を離れて山は低う見え渓の瀬に乗り河鹿しば鳴く
自動車のヘッドライト照らされて戸惑ひし狸身動きもせず
老けこみて心も疲れやすくなり一期一会の翳の冥(くら)さよ
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